" /> 暗闇に一筋の光が — だから花屋はやめられない

暗闇に一筋の光が

ヨメの点滴が外れた

まだ入院生活は続きそうだがとりあえずは良かった

点滴を引きずりながらの生活

着替えも風呂もままならない事を考えれば

とりあえずは良かった

今のところお見舞い生活も皆勤賞です

ホント入院が決まった時はあせった

もし母子ともに何かあった日にゃ

俺は神を恨み続け生きてゆくトコだった

知る人は知る

オレは無神論者 

ある時から神も仏も信じないようになった

20代にいろいろな事があり

物事をシニカルにとらえ すべてのことに批判的な人間になってしまった

30代に出会った人たちによって

自分でもビックリするくらい丸くなった

花の世界に入ったのも29歳

きっと何かの縁だったのか

バンド時代はとにかく攻撃的 

体制やら批判的なものには噛み付きまくってた

そうする事で自分の弱さを見せないようにしてきた

バンドのメンバーが白血病になってしまった時

リードギター不在のままライブをこなし続けた

志半ば帰らぬ人になってしまったが

あの時どれだけ神に祈りをささげた事か

でもアンタはそっぽ向いちまった

またあるとき猫を3匹買っていた

その中の一匹は瀕死の状態でオレが拾ってきた

配送の仕事中車に乗せて2時間おきにミルクと排便

いつしか部屋を駆け回るほど成長

アパートの大家に猫が見つかり

翌月にはアパートを追い出され

2月の寒い時に新しいアパートで病気になった

入退院を繰り返し 平成9年3月21日 4年間の生涯を終えた

病院で鼻にチューブをつけ

虫の息のそいつがあまりの痛みに起き上がろうとする姿が見ていられず

獣医さんに安楽死を求めたが

『飼い主として最期を看取ってやるのも責任』となだめられ

涙ながらに看取った夜も

オレはアンタに祈り続けた

俺の腕1本 足1本くれてやる覚悟だった

しかしその時もそっぽ向いちまった

困った時の神頼みなど都合良すぎると思うだろうが

その時はまさに神にもすがる思い

暗い話になってしまったが

そんなわけで俺は神も仏も信じない

メトロ26番線プラットホームの端で

オレは十字架を投げ捨てた

これから向かうであろう

トンネルのむこう側へ

今日も病院では

何人もの新しい命が誕生していた

人の子とはいえ

梅干みたいな顔になって泣く赤ちゃんの顔を

見ていると時間のたつのを忘れてしまう

けがれを知らない無垢な寝顔や泣き顔の赤ん坊には

吸い込まれてしまいそうだった

来週には無事退院できそうなヨメ

お腹の中で順調に大きくなってゆく赤ん坊

あと2ヶ月どうなる事やら

無事その日が来た時は

アンタに借りが一つ出来ちゃうな

花屋の徒然
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